選考委員会委員長 津田直則
応募状況
今回の助成金への応募団体数は52団体(前回54)、申請団体の所在地は青森県から熊本県まで21府県、申請団体の助成金申請総額は約1960万円(前回約1870万円)、であった。
審査結果
1)助成対象団体数と所在府県および分野別団体数
今回の審査により助成対象となった団体数は22団体で、総額300万円の枠内で助成金総額は2,458,081円となった。助成対象団体の所在地は、大阪府が12団体、大阪府を除く府県(福岡県、山口県、兵庫県、京都府、滋賀県、山梨県、静岡県、神奈川県、千葉県)が10団体となっている。分野別では、福祉分野が9団体、コミュニティ分野が9団体、環境分野が3団体、食と農分野が1団体となった。申請金額と助成金額が同じとなった満額回答の団体は、福祉分野の3団体となった。
2)選考方法と選考プロセス
審査は5項目の評価項目(先駆性、必要度、緊急性、実現性、発展性)により行った。
各団体について、まず申請書による評価を行い、次に聞き取り調査を行ったのちに再評価を行い、各申請団体の評点について合格最低ラインの点数を決めて助成団体と助成金額を決定した。聞き取り調査を欠席した団体は不利になるように評価を行っている。なお、遠隔地の団体については助成対象として可能性の高い団体のみ聞き取り調査の対象としている。また、選考委員が申請団体となんらかの関係ある場合には、従来どおり、その選考委員は当該団体については評価を行わず、他の選考委員の評点の平均点を記入することにしている。
3)選考委員による評価の特徴
選考委員には全般的に甘く採点する人もいれば厳しく採点する人もいる。52団体についての各選考委員の平均点数を見ると(5項目の評価項目について各5点満点、合計25点満点)最高が17.4、最低が10.7でありその差は6.7ポイントある。
また、選考委員の専門性により評価がかなり異なってくる。福祉、環境、コミュニティ、食と農の4分野それぞれ関係する選考委員がいるが、専門性が異なると、数人が5点を入れていても別の数人が1点を入れているというケースも発生する。人によっては「先駆性」に4点を入れ「必要性」に1点を入れる人もいる。それなりの根拠があるのだろう。合計点数の低い団体でも高い評点を入れている人もいる。また、高得点団体でも全員の評価が高いわけではない。
しかし、平凡で工夫のない申請企画では多数が低く評価する流れとなり、先駆性や内容のある企画では多数が高い評価を与えるようになり、10人の選考委員による評価は、結果としては落ち着くところに落ち着いているようだ。
4)助成金獲得団体の特徴
今回の選考における最高得点は250点満点の180点であり、最低点は106点である。助成対象となった最低点は135点となった。申請金額と助成金額が同じとなった満額回答団体は福祉分野の3団体であるが、その共通点を見てみよう。共通点は、評点が高く福祉分野でトップ3団体であること、どの団体も申請金額が大きくないこと(最高で162,068円、最低で87,720円)、評価項目では先駆性について多くの選考委員の評価が高いこと、自助努力があること、が共通の特徴となっている。先駆性については、これらの団体の活動には、出張介護教室企画、有限会社と組んでの健常者や異世代交流による障害者支援企画、障害者の能力を引き出す活動企画などの企画があり、この点で評価が高かったのだと推定される。
全4分野で最高点を取った団体は上の福祉分野の最高得点よりも高く180点であるが、申請金額が大きく満額回答とはならなかった。しかし、決定した助成金額は、助成対象となった22団体の中で最高額の302,116円となった。
今回助成の対象にならなかった団体は評価点数が低かったからであるが、その理由としてはいくつかあげられる。申請企画内容が平凡でありふれている場合が多いが、申請書の書き方に工夫が足りない場合もある。また、資金面で自助努力が足りない場合も減点の対象になる。これは自己資金ゼロの場合が多い。イベントで会費をとれる可能性が高いのに助成金に頼っていると思われる場合には評価が下がることが多い。また、自治体その他、規模の大きな団体と関係のある申請団体については個別に検討して街づくり夢基金の趣旨に合うかどうかを評価している。